岐阜城見物を終えて、金華山のふもとの公園で休んでいたら、リヤカーを引いたおばあさんが通りかかった。リヤカーにはおもちゃが満載されていた。いまどきこんなおもちゃをどこから仕入れてくるんだ。見ていて悲しくなるくらい、どのおもちゃも古臭かった。一番新しいものでも、十年以上前のものだろう。以前おもちゃ屋をやっていて、その売れ残りなのかもしれない。岐阜城見物の観光客相手に商売をしているようだが、一日中売っていてもほとんど売れていないだろう。
石に引っかかったらしく、リヤカーが動かなくなった。私は椅子から立ち上がり、後ろから押してあげた。
振り返って私に気づくと、
「恐れ入ります」とおばあさんは頭を下げた。
そのまま家まで押して行ってあげるつもりだったが、
「もう結構です。毎日のことですから」と言って、おばあさんは断った。
たった一回押してあげたところで、何の助けにもならない。そう判断した私は押すのをやめた。
遠ざかって行くおばあさんの後姿を見送りながら、
「あのおばあさんは、きっとひどく貧乏で、でも不平不満を言うこともなく、自分なりに一生懸命に生きているんだ」と心の中で思った。
あなたにとってもっとも尊敬する商人は誰ですかと人に聞かれたら、私は真っ先にこのおばあさんを挙げる。
石に引っかかったらしく、リヤカーが動かなくなった。私は椅子から立ち上がり、後ろから押してあげた。
振り返って私に気づくと、
「恐れ入ります」とおばあさんは頭を下げた。
そのまま家まで押して行ってあげるつもりだったが、
「もう結構です。毎日のことですから」と言って、おばあさんは断った。
たった一回押してあげたところで、何の助けにもならない。そう判断した私は押すのをやめた。
遠ざかって行くおばあさんの後姿を見送りながら、
「あのおばあさんは、きっとひどく貧乏で、でも不平不満を言うこともなく、自分なりに一生懸命に生きているんだ」と心の中で思った。
あなたにとってもっとも尊敬する商人は誰ですかと人に聞かれたら、私は真っ先にこのおばあさんを挙げる。
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